擁壁

敷地内に高低差はあるか

売却する物件に高低差があるときは注意が必要です。

高低差(こうていさ)とは

高低差とは、読んで字の如く、
高いところと低いところの差があることを指します。

敷地内に高低差があると、平地に比べて費用がかかるので売却価格は下がります。
高低差を処理するための擁壁の状態によってとるべき売却戦略は異なります。


上記の写真では低いところと高いところの差が3m位はありそうです。

「高低差」というキーワードで検索すると、
広い範囲での地盤のことを指している時と、
ひとつの土地内での高低差の有無を指す
2種類があります。
今回は後者についての記事です。

地盤などの広い範囲を指す高低差(地盤でいう台地、低地、谷地とか)
今回はこっち  同じ土地内の狭い範囲でいう高低差(傾斜している等)

高低差がある場合の注意点

高低差があると、その高低差を処理するために費用がかかります。土留め(どどめ)や擁壁(ようへき)という壁をつくって土を抑える必要があります。
イメージでいうと次の写真のようなものです。


道路との高低差があるときには、土留や擁壁を築造して
階段を設置しないと敷地に入れません。

土留めとは簡単にいうと「土を留める」もの。法面(のりめん)と呼ばれる「切土」や「盛土」によって人工的に作られた斜面や崖などの崩壊を防ぐためにつくられるもの。

擁壁とは、法面や崖などの崩壊を防ぐための土留めとしてコンクリートブロックや石などを使った「壁状の建造物」のこと。

また敷地自体が傾斜しているときには、建物を建てるためには地盤(地面)を平(たいら)にする必要があることもあります。傾斜の高いほうに合わせれば、低いほうの土地に盛土をして土留や擁壁をつくる必要があります。

擁壁の費用はどれくらいかかるのか

擁壁の費用は、

・高低差の高さ
・範囲
・擁壁の種別(石かコンクリート)

などで異なります。

高低差があればあるほど、費用は高くなります。
擁壁の種別によっても金額は大きく異なります。

重量のある擁壁を立てるには地盤の地耐力が必要になります。
そのため、地盤が弱い場合には地盤改良の費用も追加でかかることになります。

1000平米で価格1億円の土地で
擁壁工事7000万円かかるというケースもあります。

「相場よりも安いな」と思ったら、実は高低差の処理に
費用がかることが理由というわけです。


※擁壁を背負っている物件

高低差がある時の対策

・擁壁の費用を試算してもらう
・擁壁の範囲で想定し、有効敷地を計算しておく
・擁壁工事が得意な不動産会社に売却する

・擁壁の費用を試算してもらう
高低差が大きい場合、通常の売却価格から高低差の処理に必要な費用が差し引かれると思ったほうがよいです。不動産会社に擁壁の築造にかかる費用を試算してもらうと実際の売却可能価格が算出しやすくなります。また、高低差が大きい土地の価格は、擁壁工事の費用次第で高くも安くもなります。
通常(高低差がない場合)の売却価格-擁壁工事費用=高低差のある土地の売却価格

・擁壁の範囲で想定し、有効敷地を計算しておく
擁壁の範囲は建物を建築することができません。要するに使えない土地になります。
ですので、擁壁をつくる範囲は除いて使える土地の面積(有効敷地)を把握しておくとよいでしょう。有効敷地を知ることで相場の価格と比べやすくなります。

・擁壁工事が得意な不動産会社に売却する
高低差の大きい擁壁は、難しい問題をかかえている場合が多いです。

・隣接地までつながっていて個人で補修することが困難
・費用がかかるため擁壁を修繕することが困難
・工事スペースが確保できず工事が困難

このような場合には、擁壁工事が得意な不動産会社に売却することも有効かもしれません。不動産会社であっても、高低差の処理が不得意な場合も少なくないです。
売却価格や通常の相場よりも安くなるとは思いますが、瑕疵担保免責としてもらい売却すれば後からクレームなどの問題をかかえることはありません。

高低差があると危険な場合
地震や台風などの天災による崩壊リスクがある場合
擁壁そのものの耐久性に懸念がある場合

上記の場合は、売却の際に取り扱いに注意を要します。
不動産会社に詳しく相談してみてください。


※画像はイメージです。

擁壁の安全性を確認するために

横浜市サイトが非常に参考になります。

擁壁に関する相談窓口

高低差のある土地の多い横浜市には専門の相談窓口があります。
条件を満たせば、対策工事の助成金が受けられる場合もありますので
あなたの売却物件を管轄の自治体に問い合わせてみるのもよいと思います。


横浜市の例

擁壁の検査済みはあるか

高さが2mを超える擁壁を設置する場合は、建築基準法に基づく申請が必要です。
ですので、原則として高さ2m超の擁壁があれば、管轄行政に申請の記録が残っていることになります。これを私は仕事の中では「検査済のある擁壁」と呼んでいました。

建築基準法に基づく申請が出されていて、検査も受けて合格している擁壁であれば
一定の安心はあります。現状で擁壁に問題があるかは別として、基準に基づき、築造されて検査を受けているからです。

問題は検査済みのない擁壁です。
高さ2m超にもかかわらず行政に記録が残っていない擁壁の安全性をどうみるか。
これは難しい問題です。

新たに建物を建築するときに擁壁の安全性を確保しなければなりません。
建築士が調査を行って「問題なし」といえば、話は進むのかもしれませんが
本当に擁壁が大丈夫かなんてことは目視で判断するのは簡単ではありません。

検査済みのない擁壁は、結構たくさんあります。
昔は今ほど建築基準法に対する意識は高くなかったので、建築確認もとらずに擁壁を建築していた事例が数多くあったのです。

で、今になって売却する段階になって
「擁壁に検査済みがありません」
ということが発覚するのです。

検査済みのない擁壁のある物件でも売却できるのか

売却可能です。
ただし、価格は安くなる傾向があります。

引き渡し後のトラブルを防ぐためには、信頼のおける不動産仲介会社に売却を任せたほうがよいでしょう。擁壁の知識がない不動産会社に売却にかかわると、引き渡し後に「そんな危険があるなんて聞いていなかった」というクレームなどに巻き込まれる懸念があります。


※傾いている擁壁

高低差のある擁壁の保証はあるのか

新築分譲地にある擁壁には、一定期間の保証があります。
保証期間については、保証書などに記載がありますので確認してみましょう。

中古の場合、保証期間が過ぎてしまえば保証はありません。
個人対個人の取引であれば、瑕疵担保の期間は3ヶ月程度、もしくは
瑕疵担保免責であれば、売り主側の保証は一切なしということになります。

高低差で参考になるサイト

・国土交通省国土地理院

国土地理院のウェブ地図「地理院地図」で、地形断面図や標高図を自分で作れるようになりました。自分が住む地域など、知りたい土地の高低差をいつでもどこでも簡単に調べることができます。

不動産売却で騙されない方法はこちら

土地を売るときの注意点 地下埋設物


(地下の状態はダウジングしてもたぶんわかりません)
土地を売る時には地下埋設物(ちかまいせつぶつ)の有無も重要な問題です。
埋設物というのは、何かが地中に埋まっていることをいいます。

地下埋設物を気にする理由

なぜ、地下埋設物を気にするのかというと、建物を新築するときに地下埋設物を撤去するのに多額に費用がかかることがあるからです。具体的には、浄化槽(じょうかそう、下水道がつながる前の汚水の処理をするための設備)やコンクリートのガラ(建物を解体したときのコンクリートのかたまり)、井戸、アスファルトなどがあります。基本的には建物を建築するためには、地下埋設物の撤去をする必要があります。撤去するためには費用がかかります。車が埋まっていて、撤去するのに数百万円かかったというケースもあります。

(このような井戸が多いです)

誰が埋設物の撤去費用を負担するのか

撤去費用を負担するのが誰なのかは、契約条件によって変わります。「売主が瑕疵担保責任を引渡しから3ヵ月間負う」となっていれば、売主負担。「瑕疵担保免責で引渡し後は買主負担」となっていれば、原則として買主負担です。(売主が知っていたのに隠していた場合は別)。売主、買主ともに個人である場合には、通常は瑕疵担保責任をつけて契約することが一般的でしょう。売主が個人で買主が宅建業者(プロ)である場合には、瑕疵担保免責で契約されることもあります。

地下埋設物に気づくタイミング

地下埋設物の有無は外見上では判断がつきません。土地で何か作業をするときに気づくケースが多いです。
具体的には

・建物を解体するとき

・地盤調査をするとき

(地盤調査で地中障害を発見・・・)

埋設物が浄化槽やコンクリートのガラなどで撤去が比較的容易なものであれば、建物の解体工事の際にあわせて撤去しやすいかもしれません。巨大な擁壁であったり、解体時のガラを広範囲に埋まっていたりすると、撤去費用が相当かさむ可能性があります。地盤調査の結果、埋設物がある位置や深さなどの情報が得られやすいです。但し、すべての位置の確認は難しいでしょう。

埋設物をそのまま残すこともある

コンクリート造の建物が建築されていた土地では、建物の杭が地中に埋まっていることもあります。深さ数十メートルの杭を抜き出すのはコスト負担が大きいため、地表面から1.5mの範囲で杭頭をカットして、それ以深はそのまま手をつけないことも珍しくないです。そもそも、一戸建ての場合では、そこまで深く掘るという必要性はありません。あくまでも、建築に支障がないかどうかということで判断すればよいと思います。

(写真はイメージです)

地下埋設物のリスクを事前に確認する方法

昔から居住している人がいれば、土地の利用状況について知っているかもしれませんので尋ねてみる価値はあります。また過去の土地の利用履歴を古地図や住宅地図から調べておくことも有効です。過去に建物が建築されていたら、その建物の用途が住宅なのか、店舗なのか、工場なのか、貴重な情報が得られます。

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