建物解体

解体時に近隣住民に影響を与えないか


解体する建物と近い建物があったり、近くに高低差があったり、擁壁があると解体するときには十分な配慮が必要になってきます。解体時にコンクリートを壊すときには、大きな振動が発生し、近くの家に何らかの影響をあたえてしまうことがあります。
解体業者さんの技術とコミュニケーション能力が問われます。

そのまま売るか、解体して更地にするか

あなたが売却を前提としているのであれば、解体作業のことはあまり考える必要がないかもしれません。なぜなら、建物を解体しないままで売却するのであれば、解体するのは買主さんとなるからです。

建物を解体して更地とするのであれば、ご近所さんに配慮したいと考える人は多いです。
今まで円滑に良好な関係を築いているからこそ、ご迷惑をかけたくないという気持ちになるのだと思います。

あなたが建て替えを前提としているのであれば、近隣にお住まいの方に十分に気を使う必要があります。なぜなら、解体のクレームが今後の建て替え時、引っ越してからの生活に悪影響を与える可能性があるからです。

「解体工事の時に騒音がひどくノイローゼになった。建て替えをするときには十分に気をつけてほしい」
「振動がひどく建物が壊れた。解体業者の説明も納得いかない。許せない」
「あんなに近所に迷惑をかけてお詫びもなく住んでいるのは問題がある」

できることであれば、住んでから気持ちよく住んでいきたいものです。

解体工事でよくあるクレーム

・解体工事に伴う振動
コンクリート基礎部分や地下施設があるときには特に大きな振動が発生します。
「震度5の揺れがずっと続く感じだ」と言っていた近隣の方もいるほどです。
振動によって建物が傾いたり、建物が被害を受けることもあるため、振動が大きくなる可能性がある場合
家屋調査(解体前の建物の状態を写真撮影などをして記録しておく)などを行うケースがあります。

・解体工事に伴う騒音
振動と合わせて騒音も発生します。
「ガシャガシャ」
「ドンドン」
「ガラガラ」
「ドーン」

とにかく大きな音がなります。
重機で建物を解体するとき、コンクリート基礎を解体するときは騒音が激しいです。
建物の規模によりますが、30坪程度の木造建物であれば1週間程度で解体は終わることが多いです。
近隣の方にとっては、その1週間が長く感じられるものだと思います。

・解体工事に伴う汚れ
ホコリが舞って洗濯物が干せない
車に汚れがついてしまう
道路が汚れる
解体作業に汚れはつきものです。
解体業者の技術力、そして近隣に対する細かい配慮ができるかの力が問われます。

・解体工事に伴う境界標のズレ
解体工事に伴い、境界標が動いてしまうことも多くあります。
きちんとした解体業者であれば、あらかじめ境界標が動かないように対策をとった上で工事を進めます。
どうしても境界標を動かしてしまう可能性がある場合には、事前に測量会社などと連携して
境界標の位置を復元できるように対応することが正しい進め方です。

・解体費用と近隣対策の上手さ
解体費用が安かったけれど、作業する人の質がいまいちで近隣からクレームが多発する
ケースもあります。解体費用が最安値でなくても、信頼のおける業者に頼んだほうが安心できると思います。
もし迷ったときには、地元で信頼できる不動産会社などから紹介してもらうなどして
「一度限りだから適当でも大丈夫」という業者は避けることをおすすめします。
近隣クレーム対策のスペシャリストがいる解体業者は頼む側からすると安心できます。

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アスベストの懸念はないか

解体する建物にアスベストが含まれている場合には、アスベストの含まれている程度に応じて対策費用がかかります。

解体費の金額が高くなるということは売却価格に影響を与えるので事前に確認をしておいたほうがよいです。
※あえて調査しないほうがよい場合もあるのでご注意ください。

アスベスト(石綿)とは

アスベストというのは、昔に建物の建築資材として使われていたもの。
石綿(いしわた)とも言われます。
フワフワして綿あめみたいです。
※アスベストは自然の鉱物、一方でロックウールやグラスウールは人造繊維。

耐熱性、保温性に優れていたので建築資材に含まれていたのですが、健康被害が発生することが判明し、現在は使用が禁止されています。
そのため、過去に建築された建物でアスベストが含まれている場合には対策が必要です。

アスベスト対策が必要な理由

なぜかというと、そのまま解体してしまうとアスベストが飛散して(空気にのって広がって)住んでいる人たちに被害を与えてしまう恐れがあるからです。
過去にはアスベストの危険性が知られていなかったので、工事作業員や住民の方が病気になってしまったことが続出しました。

アスベストの危険性はどれくらい

アスベスト工場で50年間労働することによる肺がんのリスクは2倍とされている。
非喫煙者でアスベスト暴露ならリスク5倍
喫煙者でアスベスト非暴露ならリスク11倍
喫煙者でアスベスト暴露ならリスク54倍

喫煙 無し 1
喫煙 有り 11倍
喫煙 無し アスベスト暴露有り 5倍
喫煙 有り アスベスト暴露有り 54倍

喫煙者でかつアスベスト暴露を受けると肺がんリスクが相当高まるということ。

アスベスト問題の歴史

1938年 アスベストが肺がんの原因となる可能性あり(ドイツ)
1975年 吹付けアスベストの使用禁止(日本)
2005年 石綿障害予防規制(日本)
2005年 クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)で周辺の一般住民に被害が露見。

現在も建物解体時にはアスベストが含まれる場合には、所定の対策が必要となります。

吹付けアスベストは大掛かりな対策が必要

アスベスト含有吹付け材とアスベスト含有成形板があります。
解体時に飛び散りやすいのは吹付け材のほう。
アスベスト含有成形板は固形なので落として砕けたりしなければ
飛散する危険は少ないと言われています。

アスベストのレベルは3段階

レベル1がもっとも危険度が高いです。レベル3>レベル2>レベル1

主な法令におけるアスベスト含有建材の名称
建材の種類
法令 アスベスト含有吹付け材
レベル1相当)1)2)
アスベスト含有耐火被覆材
アスベスト含有保温材
アスベスト含有断熱材
(レベル2相当)1)2)
その他のアスベスト含有建材
(成形板など)
(レベル3相当)1)2)
建築基準法
(所管:国土交通省)
吹付け材の内、下記の2種類を規定
・吹付けアスベスト
・アスベスト含有吹付けロックウール
対象外 対象外
大気汚染防止法
(所管:環境省)
特定建築材料 特定建築材料 対象外
労働安全衛生法
石綿障害予防規則
(所管:厚生労働省)
建築物等に吹き付けられた石綿等 石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等 石綿等
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(所管:環境省)
廃石綿等
特別管理産業廃棄物
(飛散性アスベスト)2)
廃石綿等
特別管理産業廃棄物
(飛散性アスベスト)2)
石綿含有産業廃棄物
(非飛散性アスベスト)2)
注1)建設業労働災害防止協会の「建築物の解体等工事におけるアスベスト粉じんへのばく露防止マニュアル」では作業レベルとしてレベル1~3を分類しているが、便宜的に主な建材の区分としても使用されている。2)( )内は一般的な呼称。

※国土交通省サイトより

売買時にアスベストの使用の有無の調査結果を伝える

建物を含む不動産売買では、アスベスト使用の有無の調査結果が記録されている場合
その内容を重要事項説明として購入者に対して説明する必要があります。
調査を行っていなければ「調査結果無し」として説明します。

アスベストの処理方法

除去費用は個別条件によります。
レベル1クラスですと通常の解体費に比べて相当金額は高くなります。

処理する面積によって処理単価に差があるようですが、おおよその目安となる費用を下記に示します。この除去費用は、2007年1月から2007年12月における、施工実績データより算出された除去単価です。

アスベスト処理面積 除去費用
300m2以下 2.0万円/m2 ~ 8.5万円/m2
300m2~1,000m2 1.5万円/m2 ~ 4.5万円/m2
1,000m2以上 1.0万円/m2 ~ 3.0万円/m2
注)
1.

アスベストの処理費用は状況により大幅な違いがある。(部屋の形状、天井高さ、固定機器の有無など、施工条件により、工事着工前準備作業・仮設などの程度が大きく異なり、処理費に大きな幅が発生する。)
2.
特にアスベスト処理面積300m2以下の場合は、処理面積が小さいために費用の幅が非常に大きくなっている。
3.
上表の処理費用の目安については、施工実績データから処理件数上下15%をカットしたものであり、施工条件によっては、この値の幅を大幅に上回ったり、下回ったりする場合もありうる。

詳細は下記の国土交通省のホームページを参照ください。
「石綿(アスベスト)除去に関する費用について」の公表

アスベストの有無を確認するタイミング

通常は解体業者が見積もりのために現地確認をする時に行います。
建物の築年数、構造などから推測しながら、
アスベストが含まれている箇所がないかを確認します。
その際に、建物の設計図書や竣工図書があると判断しやすくなります。
資料がない時、アスベストが含まれていることを確認するためには
部材の一部を削り取ってアスベスト検査センターに調査を依頼します。
その結果、含まれていれば、状況に応じた対策をとることになります。

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建物解体費はどれくらいかかるか

土地建物を売却する時には建物解体費用がいくらかかるのかを知っておきましょう。

建物の種類が木造、軽量鉄骨造、RC造なのか、建物の延べ床面積、前面道路の広さ等によって金額が変わります。
あくまで目安ですが木造延床面積30坪で150~200万円
RC造延床面積30坪で300万円程度、
建物にアスベストが含まれていると対策が必要になり金額が高くなります。

建物解体費が高くなるケース

・敷地に高低差がある
・隣接地と近く余裕がない
・擁壁がある
・旗竿敷地で重機(解体するための機械)が入らない
・前面道路が狭くて重機が通れない
・隣接地所有者が神経質な方で工事ができない
 等

このような場合、解体費用が高くなる傾向があります。

建物解体費を把握しておくメリット

・買う側の立場で新築にかかる費用を知れる
・更地で売却するための費用を知れる

解体費用を把握しておくことで、本当の物件価格を知ることができます。

A 土地面積 30坪 更地 5000万円の物件
B 土地面積 30坪 古家付土地 4700万円の物件

A の坪単価 @約166万円
B の坪単価 @約156万円

一見、物件Bのほうが坪単価は安く見えます。
しかし、物件Bを更地にするために解体費用がかかります。

物件Bの 古家(建物)を解体する費用が300万円かかるとすると
B 物件価格4700万円+解体費用300万円=合計5000万円
となり、実質的に物件Bの坪単価@166万円と同じになります。
住宅ローンを借りる場合には、物件Bは解体期間分の金利負担がかかります。


土地、古家付土地の価格が高いか安いかは更地価格で坪単価を比較する

古家付土地とは「解体が必要な売地のこと」

売主が古家付土地として売却する場合、建物はそのままで買主に引き渡します。
古家付土地とは、建物の築年数が古い場合に使われる表現で
「土地として売却するけど、築年数が古くて使えない建物があるよ」

ということです。

売る側にとっては、解体費用の負担がなく、建物の瑕疵担保責任を負わずに売却できるメリットがあります。
買う側にとっては、新築を前提とする場合には、建物解体費用の負担がある物件となります。

古家付土地、更地 売りやすいのはどっちか

古家付土地と更地、売りやすいのは更地です。

なぜなら、更地は「すぐに建築することができる」からです。
古家付土地の場合、買う側は建物を新築するために建物を解体する必要があります。
解体費用もかかりますし、解体期間もかかるからです。

■古家付土地で売却する理由

更地のほうが売りやすいのになぜ古家付土地で売却するケースが多いのでしょうか。
理由は「売却する物件に100万円を超える費用を払いたくない」という方が多いからです。
まだ売れるかどうかもわからない状態で100万円以上の費用を支払うというのは、心理的にキツイということもあると思います。

もう1つの理由は、「更地にすると固定資産税、都市計画税の金額が上がるから」です。
1月1日時点の土地所有者に対して固定資産税、都市計画税(略称:固都税)がかかります。

固都税は、更地の場合と建物がある場合で金額が異なります。
更地の場合は固都税が高くなり、建物がある場合は安くなります。

更地の場合 > 建物がある場合

住宅がある場合には、固都税の軽減があり、更地の場合と比べて
固都税が1/6くらいも安くなるのです。

解体して更地にしたままで1月1日時点で売れないと、固都税が高くなってしまう。
更地にしたまま売れなければ、ずっと固都税が高いままとなってしまう。
所有者としては建物解体を避けたくなるのは自然かもしれません。
空き家問題の原因の一つと言われています。

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